自由の代償・・・『およげたいやきくん』の結末は恐ろしいって知ってましたか?
近頃はSpotifyで音楽をよく聴いています。
最近の曲ばかりではなく、たまに古い歌も聴いているのですが、たまたま発見したのが懐かしい曲『およげたいやきくん』です。
日本レのコード売り上げ歴代1位の座についている歌で、今でもテレビで曲が流れることがあり有名ですよね。
聴き慣れた歌ではありますが、
「そういえば最後までちゃんと聴いたことはなかったな」と思い、一曲最初から最後まで聴いてみることにしました。
最後まで聴いてみると、私は恐怖を感じました。
ただの童謡だと思っていたのが、曲を1番から3番までしっかりと聴いてみると、この世の不条理を思い知らされたかのような気持ちになりました。
目次
1番の歌詞
まいにち まいにち ぼくらは てっぱんの
うえで やかれて いやになっちゃうよ
あるあさ ぼくは みせのおじさんと
けんかして うみに にげこんだのさ
はじめて およいだ うみのそこ
とっても きもちが いいもんだ
おなかの アンコが おもいけど
うみは ひろいぜ こころがはずむ
ももいろサンゴが てをふって
ぼくの およぎを ながめていたよ
一番の歌詞は有名なので、そこまで驚くところはありません。
毎日毎日同じことを繰り返していやになってきたたい焼きが、思い切って海へ飛び出すのです。
初めて泳いだ海は気持ちがいい。
聴いているとこちらまで解放感が伝わってきて気分もいいものです。
「ももいろサンゴが手を振ってぼくのおよぎを眺めていたよ」という部分は、誇らしげな感じがしなくもない。まだまだ余裕を感じられます。
2番の歌詞
まいにち まいにち たのしいことばかり
なんぱせんが ぼくの すみかさ
ときどき サメに いじめられるけど
そんなときゃ そうさ にげるのさ
いちにち およげば ハラペコさ
めだまも クルクル まわっちゃう
たまには エビでも くわなけりゃ
しおみず ばかりじゃ ふやけてしまう
いわばの かげから くいつけば
それは ちいさな つりばりだった
2番の序盤はまだ楽しそう。
「難破船がぼくの住処さ」なんてところは聴いているこちらもわくわくしてきたりして、サメに狙われるのも、逃げればいいだけでどうという事はないといったようなニュアンスが伝わってきます。
しかし後半から雲行きがあやしくなってくる・・・。
お腹が空いてエビでも食べようとくいつけば、なんとそれは釣り針だった。
やっと美味しい食べ物にありつけたという喜びが、直後に罠だったという恐怖に変わる恐ろしさ・・・。
この辺りから私の恐怖心は徐々に増していきます。
「この後はまさか・・・?」と。
3番の歌詞
どんなに どんなに もがいても
ハリが のどから とれないよ
はまべで みしらぬ おじさんが
ぼくを つりあげ びっくりしてた
やっぱり ぼくは タイヤキさ
すこし こげある タイヤキさ
おじさん つばを のみこんで
ぼくを うまそに たべたのさ
3番の序盤はまだ少し望みはあるかなといった感じですが、タイヤキの気持ちになったらとてもかわいそうです。
せっかく自由に暮らしてたのに・・・。
そしてついに釣りあげられてしまう。
釣りあげたのはおじさん。
たい焼き屋のおじさんとはまた別のおじさんですが、おじさんが彼から自由を奪ってしまう。
「まさか・・・?」と思いながらも、あっさりとタイヤキはおじさんに食べられてしまった。
ここで曲が終わるのですが、この終わった後のシーン・・・とした感じが、私はとても恐ろしく感じたのです。
楽しそうに泳いでいたタイヤキの意識が消えたこの瞬間が・・・。
しかしタイヤキはタイヤキでエビを捕食しようとしていたので、これが世の中の成り立ち(食物連鎖)なのかと、虚しく納得せざるを得ない部分でもあります。
意外にも【タイヤキ】という言葉が出てくるのは3番が初めてです。
食べられる直前にタイヤキが自らをタイヤキだと名乗りました。
「しょせんタイヤキですよ」という諦めの感情が読み取れます。
アニメーションの方のたい焼きもひどい表情になっています。
「死んだ魚の目」とはまさにこのことではないでしょうか。
3番に関しては1番、2番と違い、後半になっても曲調が盛り上がらない。
たい焼きの心情が反映されているかのようです。
『およげたいやきくん』はなぜ大ヒットしたのか?
子供向けの童謡のようで、実際は現実を突きつけられたかのような怖い歌詞。
耳に残りやすいのはわかりますが、それでもなぜ日本歴代1位になるほど売れたのかが
わからなかったので、Wikipediaで調べてみました。
以下引用(Wikipedia考察)
ヒットの要因としては情緒に訴えかけるメロディや、シングル付属の塗り絵を求めて買われたという意見[7]がある。また明確に裏付ける資料はないが、成人層にアピールした以下のような理由がヒット当時から逸話として語られることがある。
私が初めて曲を全部聴いたときは、やはり現代(とくに昭和や平成あたり)の日本人の心情と重ね合わせて考える部分がありました。
会社に縛られ自由を求めて羽ばたくも、結局は食い物にされてしまうといったようなことはおよげたいやきくんの世界だけではなく、現実世界でも起こっていることなのです。