とある女の日常のあれこれ

日々のちょっとしたお役立ちから、くだらないことまで。

中国五つ星ホテルで行われていた清掃のやり方は他人ごとではない。日本の元ホテル清掃員がつらつらと暴露します。

今日は何気なくYouTubeを開いたら、「中国の五つ星ホテルずさん実態」というニュースが「あなたへのオススメ」に出ていたので見てみました。

 

私が見たのはこちらの動画です。


みよ!これが中国の実態だ!5つ星ホテルに隠された驚愕の清掃方法とは...

 

 

動画は消える可能性があるのでニュース記事も貼っておきます。↓

中国5つ星ホテル 便所掃除用具を食器に使い歯ブラシ使い回し│NEWSポストセブン

 

 

 

この動画を見た人は

「やっぱり中国はこんな感じなんだな」

「中国だからあり得る」

と他人ごとのように思った人が多いのではないかと思います。

 

実際に動画のコメント欄では

「中国人はこんなもん」

「やっぱり民度が低い」

「日本ではありえない」

「日本で良かった」

このようなコメントが多くあがっていました。

 

そのコメントの中には少数ですが、日本のホテルでの清掃経験者らしき人達がたまに混ざっていて、日本のホテルの清掃についての真実(経験)を語っています。

しかし、「いいね」の少なさからしても、やっぱり実際に現場で経験した人じゃないと実感がわきにくいのかなと感じました。

 

かくいう私も実は日本のホテルの何か所かでホテルの清掃を行っていたことがあります。

 

ですので、動画のコメント欄を見て、「日本人は中国人よりも優れている」という人たちが沢山いることに少し違和感を覚えました。

 

というのも、

私が働いていたホテルでも「お客様が見たら嫌だと思うだろうな」という清掃のやり方が普通にまかり通っていたからです。

 

 

私が初めてホテルの清掃をしたのが十年以上前で、

「見えていないからといって、こんなことしていいの?」と疑問に思う清掃のやり方が多々ありました。

しかし、人間は環境に馴染んでいけば次第に疑問に思わなくなってくるものです。

そのうちに「そんなもんなんだ」と思うようになっていきました。

 

時代的なものもあるのかなと思いましたが、数年前に別のホテルで働いた時も十年以上前とほぼ変わらず同じことが行われていたので、これは過酷な労働問題が解決されない限り、変わることはないんだろうなと思いました。

 

とは言っても、さすがに動画のような

「便所のブラシでコップを洗う」ということは起きていませんが。

 混同されると困るのでこれは強調しておきます。

 

 

※以下清掃の経験に基づいたことを書いていきます。繊細な方や、汚い裏事情など知りたくないという方は読まない方がいいかと思います。

 

 

 

 

 

私が当時清掃をしていて嫌だなと思ったのは

 ◆便器の中を洗ったスポンジで便座やふたなど一通りを洗う

便器の中だけならいいのですが、便座やふた等全部同じもので洗うのはどうなのかなと思った。しかしいちいち分けている時間はない。数秒が命取りになります。

◆使用済みのフェイスタオル(お客様用)で便座やそのまわりを拭く

個人的に嫌悪感が強かったことの一つです。便所掃除にお客様用のタオルを使うのはどうなのか?男性が使ったあとの便器は汚れていることが多いです。それをフェイスタオルやバスタオルで拭くのはどうなのか。便器には小便、または大便がこびりついていることも珍しくありません。

◆便所掃除のゴム手袋をしたままグラスなどを洗う

これは人によりましたが、「手荒れをしたくない」などの理由でグラスをゴム手袋で洗う人は少なくありませんでした。傍から見れば「手荒れくらいで便所とグラス一緒にするのはおかしいだろ」と思いますでしょうが

【毎日のベッドメイクでボロボロになった手の痛さ】

【時間の切迫感(焦り)】

【誰も見ていないし他の人もやっているから】

という理由が合わされば、そういうことは起こりうることなのです。

◆使用済みのバスタオル(お客様用)で窓の結露を拭く

窓が結露していたらお客様の使用済みタオルを使って窓全体を水滴が残らない様に丁寧に拭きます。ホテルの窓は大きいので一枚では足りず、二、三枚使っていました。

タオルはその後洗うとは言え、体を拭くもので窓を拭くのはどうなのか?

◆バスタオルやフェイスタオル(お客様用)でグラスやポットなどを拭く

さすがに動画の様に、便器用のブラシでコップなどを洗うということはありませんでしたが、洗ったグラスは基本的にバスタオルやフェイスタオルで拭いていました。

時間がない時は使用済みのタオルで拭いていることも何度も見たことがあります。

一応二枚ほどグラス拭き用のタオルを渡されますが、それは二、三部屋まわった時点で使い物にならなくなります(拭いても水滴が残る)。

備え付けのポットも中に水滴が残っていてはいけないので、タオルで綺麗に拭く。

◆お風呂を洗った後の水滴をバスタオル(お客様用)で拭く(天井から床まで)

タオル系が多いですね。

浴槽というのは水滴が多くついています。

部屋や使用状況にもよりますが、壁や天井にまで水滴がびっしりついている時はとても大変です。しかも、水滴一つ残してはいけないのでタオルで丁寧にふいていきます。

◆鏡もタオル

またタオルです。鏡もタオルで拭いていました。

◆ベッドスカーフ

(ベッドの足元に敷いてある布)に関しては、私は一度も取り替えたところを見たことはありません。汚れていなければ基本替えないというのは中国と一緒でしょう。

 

 

ほぼタオル系でしたね(;^ω^)

 

こうやって書いてみると私がおかしいと思った事は『なんでもかんでもお客様用のタオルを使って掃除をする』ということになります。

中国の五つ星ホテルの実態を映した動画の中でも、タオルで浴槽の水滴を吸収している場面がありますね。

 

なぜタオルで拭くのかというと、その方が水分が吸収されるし汚れが落ちるからです。さらに多くの部屋を、極めて短い時間内に掃除しなければいけないので、いちいちそれ用のタオルを使っている時間がないのと、その費用もないんだと思います。

 

 

上記の事があるので、私は未だにホテルの部屋の備え付けのグラスなどを使う時に少し抵抗があります。というか基本的には使いません。

タオルとかも抵抗がありますね・・・。

果たして「洗えばオッケー」と思える人がどれくらいいるのだろうか?

 

基本的にみんな時間に追われているので、上記の事以外で、ズルをする人が出てきます。

たとえば、洗面台に置いてある歯磨き用のコップなどはグラスではないことが多いので汚れが目立ちにくいです。それ故に「洗わずにタオルで拭くのみ」という事をやる人が出てくる。そういう場面も私は何度も見た。時間に迫られて私もやったことがある。(すみません)

 

もしかしたらですが、日本のホテル清掃業界でも中国の様に考えもつかないような方法で時間を短縮している人がいないとは言えないです。

こういう言い方をしていいのかわかりませんが、こういった業界には神経が図太く意地悪で性格の歪んでいる人も働いています。

 

 

基本的に働き始めてから数週間はベテランについて部屋を周りますが、ベテランやリーダーなどがこういう仕事の教え方をしています。(タオルで拭くなど)

 

そのベテラン勢が「時間がないのでOK」といえば、「え?」と思うようなこともまかり通ってしまう世界なのです。

ホテルによって違いますが、一人で部屋をまわることもあれば、二人一組になって一緒にまわることもあります。

 

 なぜこのようなことが起こるのかというと、単純に「時間がないから」です。

 

 

 

 

私が働いていたのはビジネスホテルやシティホテルだったので〝五つ星ホテル〟となるとまた話は違ってくるのかもしれない。

しかし、この問題に五つ星だとか、格の低いホテルだとかいうことは関係があるのだろうか?

私はないと思っています。

 

 

 

とは言ってもこれは民度の問題とかそういうものではない。

 

 

また、北京の同系列のホテルでは客室清掃員の勤務状態の点検を強化する措置をとったという。しかし、黒竜江省のテレビ局のインタビューに応じた清掃員は「1人でワンフロアの20室から30室を担当しなければならず、過重労働が続いて一部屋一部屋を丁寧に清掃する時間はない」と話している。

中国5つ星ホテル 便所掃除用具を食器に使い歯ブラシ使い回し│NEWSポストセブン

より引用

 

 

上記はニュース記事の一番最後に乗っている文章ですが、何故このようなことが起こるのかというと「過重労働が続いている」ことが問題なのです。

 

「一部屋一部屋を丁寧に清掃する時間はない」

 これが問題の核です。

 

 

ホテルの清掃と言えば、言ってしまえば単純労働で、学歴や経歴も必要なく、誰でもできるそんなイメージです。

働きたいと思えば基本的には健康であれば誰でも受かる確率が高いでしょう。

 

働いてみるとノルマはないにせよ(あるところもある)、一人で大体何部屋というのが割り振られていて、時間内にそれが出来なければ「お荷物扱い」となってしまいます。(その分を他の人がやらなければいけないので)

その割り振られた数を時間内でこなすのが結構キツさなのです。

「考える暇もないくらいに早く動かないと終わらない」というのが動画のようなことが起こった原因なのだと私は思っています。

 

部屋の中には「使ってないんじゃないか」というくらいに綺麗に使ってくれている人(こんな部屋に当たればラッキー)もいれば、

「わざわざここまで汚さなくていいんじゃないか?」というあり得ないくらいに散らかっている部屋もあります(団体客でこれに当たった場合は死亡レベルです)。

しかし、こういったあり得ないレベルの汚さを残して行くのは実際に中国(または台湾)が多いのは事実です。

※忘れ物やゴミ(パンフレットなど)に書いてある中国語、お土産などを元に判断

 

 

 そんな目に見えないプレッシャーの中で清掃しなければいけません。

実際に人が見ていないところで「いかにズルできるか」ということが出来る心の持ち主の人が給料以上に稼いでいたりする。

一定の部屋数以上は歩合制のところもあるので。

 

しかし「一人大体これくらいは出来るだろう」という部屋数をこなせない人も当然出てきます。そういう人は勿論お荷物扱いになります。

お荷物にはならなくても自分がそういう立場になってしまわないかということと常に戦っている状態になります。

少なくとも「時間がかかったとしても使う人のことを考えて丁寧に」を重要視している人はこの世界ではやっていけないでしょう。

 

手が荒れてガサガサになり、過酷な労働で体のあちこちが痛くなり、過重労働と言っても過言ではないと思っています。

そんな労働をしてももらえるのは最低賃金

求人誌などを見ているとわかりますが、清掃会社の時給のほとんどは最低賃金です。

 

そして問題なのは、その過重労働は働いている側が上に訴えたところでどうにかなる問題ではないということです。

管理をしている人たちは、「自分が儲けたくて」安く人を雇い、過重な労働をさせているわけではなく、経営もカツカツというのが実情なのではないかと思います。

 

と思ったのは、実際に前の会社で「給料未払いのまま経営者が逃げた」ということが起こったからです。

私が働く直前のことなので、人づてに聞いた話ではありますが、働いていた人の多くがその問題で困っていたので、たんなる噂ではないでしょう。

 

 

私はただ労働をしていたのみなので、経営の状況などはわかりませんでしたが、

タイムカードの押し方も、「これ完全に働いてる側が搾取されているやり方だよな」という押し方を強要されていたので、清掃会社自体が常に切羽つまっているのかもしれません。

その当時は「最悪だな」くらいにしか思っていませんでしたが、こうして文章にしてみると新たに見えてくるものもあるんだなと思いました。

 

 

 

ただこのような清掃のやり方の問題などは、そこで働いている労働者のみしか実態がわからないようになっています。まず「清掃業で働いている」人以外は知りえない事なのです。

 

人が見ていないところでは時間短縮やお金の為にいくらでもズルができる(民度が低い事に思えてもお金の為なら人は割と何でもする)。

そして、上の人間(清掃会社ではなくホテル側の人間)は一部始終を見ているわけではなく、清掃終了後のチェックしかしていないという事もこういうことが起こる原因なのでは。監視カメラをつけるぐらいしないと、なかなか実態は明らかにはならないのではないでしょうか。

 

「日本は素晴らしい」という風潮が強いですが、実態を少しでも知ってほしいという思いと、こういうことが起こるのは民度の問題なのではなく、そもそものシステムや環境が問題なのでは?ということを発信したかったので今回は文章にしてみました。

 

 傍から見ればその大変さがわからないので、そういうことを行った人に対して軽蔑したりする人がいますが、実際はそこら辺でまかり通っている事なのです。

確かに中国人は汚いなと思う事も、私もないわけではないです。

しかしこの動画程酷くはないが割と日本でもありますよ?ということを言いたかった。

 

全部のホテルがそうなのかというところは私にはわかりません。

しかし少なくとも私が行っていたホテルではこういったことが実際にありましたし、派遣で色んなホテルの清掃をして回っている人もどこも同じようなもんだと言っていました。

 

働いている人は善意や悪意を持ってそれを行っているわけではありません。

とても真面目で責任感がありテキパキと細かく仕事をこなす素敵な人も多いです(先ほど書きましたが歪んだ人もいますが)。

 

 

この内容は私の一経験に基づいてのことと理解していただければと思います。

ベッドメイクなどはシーツは綺麗なものに取り換えているし、排水溝も定期的に掃除したり、掃除機も念入りにかけて髪の毛一本残さないようにという信念のもとで掃除をしていましたのでそこら辺は安心できるところです。